カメラ接続のためのボード設定方法(露光制御編)

− AIPToolを使ってカメラと同期撮像を行おう!−

はじめに

カメラ接続のためのボード設定方法(基礎編)では、AIPToolを使用しフリーランでの撮像とIniファイルの保存を行いました。

しかし、フリーランで撮像を行った場合は、カメラのタイミングで画像データを出力するため
任意のタイミングや露光時間で撮像を行うことができません。

ではどうすればいいか?
ボードとカメラ間で露光制御を行う必要があります。

ここでは、露光制御でお困りの方に、AIPToolを使用した露光制御による撮像方法について解説します。
なお、解説は以下4点を使用します。

「CameraLinkカメラ」
「弊社グラバーボード」
「SDK-AcapLib2」
「AIPTool」


露光制御とは

ボードからカメラにCC信号(カメラコントロール信号)と呼ばれる制御信号を出力し、
カメラがCC信号に同期して露光を開始する撮像方法が露光制御です。
なお、このCC信号にはCC1からCC4まで4つのCC信号がありますが、大半のカメラはCC1信号を使用して露光制御を行います。



2種類の露光制御モード

カメラには大きく分けて、以下2種類の露光制御モードがあります。
※各露光制御モードの名称は、カメラメーカーによって異なりますのでご注意ください。

エッジトリガモード
パルス幅制御モード


エッジトリガモード

露光開始タイミングと露光時間は、以下になります。

露光開始:CC信号の立ち上がり又は立下りで露光を開始します
露光時間:カメラで設定された時間だけ露光を行います

露光開始のタイミングはボードで、露光時間はカメラで設定します。



パルス幅制御モード

露光開始タイミングと露光時間は、以下になります。

露光開始:CC信号の立ち上がり又は立下りで露光を開始します
露光時間:CC信号のパルス幅が露光時間になります

露光開始のタイミングと露光時間はボードで設定を行います。



ボードの設定

AIPToolを使用して、ボードの設定を行います。


※AIPToolの詳細は AIPToolの紹介ページ をご覧ください。AIPToolのダウンロードは会員ページ より可能です。
まず、AIPToolのSetup画面を開いてください。
以下の4項目を変更することで、露光制御を調整します。



CC信号の有効/無効

CC信号を使用する場合はYes、しない場合はNoを選択します。
Yesを選択すると「Step3 - CC/Strobe Setup」が表示され、露光制御の設定が可能になります。

CC信号の論理

カメラの露光開始のタイミングを、CC信号の立ち上がりとするか、立下りとするかを選択します。
立ち上がりの場合「Positive」、立ち下がりの場合「Negative」を選択してください。
CC信号の論理はカメラの設定によって異なりますので、詳細はカメラのマニュアルをご参照ください。



CC信号のパルス幅

CC信号のパルスのアクティブ(有効)期間を設定します。
「パルス幅制御モード」の、露光時間に相当します。



CC信号の出力周期

CC信号のパルスの周期を設定します。
「エッジトリガモード」、「パルス幅制御モード」の露光開始タイミングに相当します。


テンプレート設定

CC信号のみを使用した露光制御を使用する場合は、「テンプレート設定」からも設定できます。
以下の画像の様にテンプレート設定の「No.14」を設定してください。
※CC信号の論理、パルス幅、出力周期などの詳細な設定は、フロー設定をご使用下さい。


トラブル事例

こんなトラブルに遭遇したことはありませんか?

・CC信号のパルス幅を変更しても、露光時間が変わらない

・CC信号の周期はどれくらいに設定したらいいかわからない

露光制御ではこういったトラブルがよくおこります。
ここでは、露光制御に関するトラブル事例を紹介します。

CC信号のパルス幅を変更しても、露光時間が変わらない

CC信号のパルス幅を変更しても、露光時間が変わらない・・・
その場合は、カメラの設定を再度確認してください。

◆カメラの設定がフリーランになっていませんか?
カメラがフリーランになっているということは、
CC信号による露光制御をカメラが受け付けていないということになります。
そのため、CC信号のパルス幅を変更しても露光時間が変わりません。



上の図の様に、トリガの立ち上がり、立ち下がりどちらにもカメラの露光が同期しません。


◆カメラの設定がエッジトリガモードになっていませんか?
カメラがエッジトリガモードに設定されているということは、
露光時間はカメラの設定によって決まるということです。
つまり、CC信号による露光制御は、露光開始タイミングのみということになります。
そのため、CC信号のパルス幅を変更しても露光時間が変わりません。



上の図の様に、トリガの立ち下がりに同期して露光開始しますが、
立ち上がりに同期していないため、CC信号のアクティブ中に露光が終了してしまいます。


CC信号の周期はどれくらいに設定したらいいかわからない

CC信号の周期がいくつに設定したらいいかわからない場合は、
以下の条件を満たすように設定してください。


CC信号の出力周期>露光時間+データの出力時間


基本的に、カメラの露光中、データの出力中は、露光開始信号は無視されます。
CC信号の出力周期が、[カメラの露光時間+データの出力時間]より大きくなるように設定してください。
※例外もあります。詳細は、カメラメーカーにお問い合わせください。

また、パルス幅が、出力周期を超える値は入力しないでください。
AIPToolでは、パルス幅が、出力周期を超える値を入力すると、下の図の様な警告が表示されます。